東京女子医科大学
女性医師・研究者の育成と積極的な登用により、
女性が輝き続ける持続的なサイクルを実現 !! 音声読み上げなし

東京女子医科大学は2020年に創立120周年を迎えます。同時に、2020年度で女性教授比率30%の達成を目指しています。そして、これが一時的な現象にとどまらず、永続的に達成できるよう持続的な仕組みづくりを目指しています。すなわち、環境整備、研究力向上、上位職登用(教授職登用)により、『女性が輝き続ける持続的なサイクル』の実現を目指しています。
2016年度「ダイバーシティ研究環境実現イニシアティブ(特色型)」に採択
東京女子医科大学は、2016年度「ダイバーシティ研究環境実現イニシアティブ(特色型)」に採択されました。2020年度に女性教授比率30%達成を目標に据え、①研究環境整備、②研究力向上・リーダー育成、③上位職への積極登用を施策推進の柱としました。
この3つの施策はそれぞれ単独に存在するのではなく、むしろ相互に関連し、循環的に依存しあう形となっています。女性医師・研究者育成施策を充実させるだけでなく、①プラスファクター制度、②特命担当教授、③女性センター教授(附属病院旧女性科教授)ポスト創設で、女性教授数を増やします。女性教授の増加により、意識改革、環境整備、研究力向上を支える持続的なサイクルの実現を目指しています。

女性医療人キャリア形成センター
センター長 肥塚直美常務理事

女性医療人キャリア形成センター
副センター長 齊藤加代子特任教授
環境整備(働き方改革)
研究環境整備事業では、主に次の4つの施策を展開しています。
①勤務環境改善
附属病院での各医局との座談会を通じ、現場レベルでの問題点を明らかにし、解消するための仕組みを導入していきます。取り組みの成果は次年度のシンポジウム(医学部4年生の授業にもなっています)で発表します。
②育児支援発展(ファミリーサポート事業)
育児支援については、短時間勤務制度や病児保育が可能な院内保育所など幾つかの施策がありますが、特徴的なものとしてファミリーサポート事業がございます。ファミリーサポート事業は本学教職員の子女の保育園や習い事の送迎、短時間就労や急用時の預かり等を本学近隣住民等の協力のもとで行う育児支援システムで、本学が他大学に先駆けて始めたものです。活動件数は年間約4,000件です。
③介護支援制度創設
介護に関するアンケートを実施、そこで得られた疑問点・問題点を中心に『キャリアと介護両立支援マニュアル』を作成、介護支援窓口を学内に設置しました。
④研究支援員制度創設
研究力向上
研究力向上・リーダーシップ向上は、主として、女性医療人キャリア形成センター傘下にある彌生塾の活動を通じて行われています。彌生塾とは、東京女子医科大学の創立者である吉岡彌生先生の精神を受け継ぎ、社会のリーダーとして活動することを目指す女性医療人を育てる教育の場です。現在の登録者数は300名を超えています。彌生塾では、①リーダーシップセミナー、英語セミナー、②ピアラーニング、③キャリア形成個別支援、④講演会などを行っており、現在の登録者数は300名を超えています。
教授職登用(上位職登用)
教授職登用(上位職登用)では、主に次の5つの施策を展開しています。
①プラスファクター方式導入
②特命担当教授新設
「女性教員の上昇志向をさらに高め、上位職登用候補者であることを学内外に示す」ための職位で、女性教授就任を積極的に後押しするものです。
③女性センター教授(附属病院旧女性科教授)ポスト創設
本学附属病院で平成29年度より新設された女性の医師・看護師・医療スタッフにより構成される診療科です。婦人科など女性特有の疾患に限らず診療を行います。他科と兼任できるため、女性科の教授・准教授数を新たに設置することができます(なお、女性科は令和元年度より女性センターに名称変更)。
④教員評価制度見直し
教員評価上の項目として、教育・研究・医療等に関わる実績、能力だけでなく、女性医療人の教育や研究環境の整備に関する貢献度などを評価項目に含めました。
⑤所属長意識改革(教授会FD)
外部から講師を招いて教授会と同時開催の講演会を実施し、所属長の意識改革を進めています。
取り組みの成果

本事業は2016年度(平成28年度)より開始しました。事業開始直後は、体制整備・施策見直し等で、女性教授比率についても低迷する状況にありましたが、2017年度(平成29年度)後半より、ダイバーシティ関連諸施策が順調に展開し始め、前述の『女性が持続的に輝き続けるサイクル』は順調に稼働し、女性教授数は2017度の23名から2018年度31名、2019年度41名、女性教授比率は18.9%(2017年度)から29.1%(2019年度)と、大幅に増加しました。
事業開始以来もう一つ顕著なのが、主要ポストへの女性の躍進です。事業開始前後で、主要ポストへの女性の就任は以下の通り増加しています。

*なお、2019年度より、女性理事長就任。
【以上の取組の成功に向けた留意点】 ★は該当する項目
★A 戦略性:機関の経営戦略として位置づけている
★B トップのコミットメント:機関のトップが牽引している
★C 取組体制の整備:実施責任者を置き、明確な実施組織等を整備している
★D 成果目標:具体的で明確な目標等を設定している
★E 双方向のコミュニケーション:幹部層と構成員のコミュニケーションを促進している
F 説明責任と透明性:外部評価委員会等を設置し、外部の意見を取り入れる体制としている